続倉敷珈琲物語 「旅のノンフィクション大賞」

鄭永慶のお孫さんである福永さんとの不思議な出会いから数か月たった、お盆をあと数日後にひかえた8月11日の日曜日

私は妻と昼食をとりに行きつけの蕎麦屋に出掛けた

信州そばとして有名なそのお店がなぜか閉っていた...日曜なのに...

車で30分ほどの距離を走ってきたのに残念だったがしかたがない

気分を変えて、行きつけのお好み焼き屋さんに向きを変えた


しかし、こういったことはよくあることのようにも思うが、お好み屋さんもまたなぜか日曜日なのに閉っていたのだった...


しょうがない、絶対開いているあの店に行こう!

頻繁に行くというほどではないものの、なぜか時々行きたくなる中華屋さんは、いつでも開いていて、ありがたいお店だった

さすがというか、あたりまえというか、その中華料理屋さんは開いていた



いつもなら、早く出てくるランチメニューなど頼むのに、なぜかその日はちょっと変わったメニューを頼んでしまい、少々長い待ち時間となってしまった


手持無沙汰な妻は新聞を読んでいた

読売新聞だった


「これって、いいんじゃ〜ない!」

突然妻が新聞を私の方に向けて話しかけてきた

椎名誠さんが審査委員長だし、テーマもぴったりよ」

そういって見せてくれた新聞記事は、エッセーの募集広告だった

「旅のノンフィクション大賞」

旅にまつわるエッセーの募集広告だった


「賞を取るなんて無理でしょうけど、椎名誠さんに読んでもらえるなら、ひょっとしたら鄭永慶さんに興味を持ってもらえて、鄭永慶さんのことがもっと多くの人に知ってもらえるかも...出してみなさいよ!」

お墓を見つけただけでなく、お孫さんとの出会いにまで発展した実話なのだ

もともと多くの珈琲好きに鄭永慶さんのことを知って欲しくてお墓探しの旅に出たわけだし、妻の言うことももっともなような気がして、自分の文才のことは置いといて、なんだかその気になっていったのでした...

締め切りは9月17日だった

「書いてみるか!」

店を出るときにはすっかりその気になっており、そのまま読売新聞を買いにコンビニに向かっていた