2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

続倉敷珈琲物語 第42話「玄随が初めて飲んだのは珈琲ではなくて...」

「少しお待ちくださいな、今、蔵書目録を見てみますんで...」と、電話口で津山洋学資料館の係の方...「すいませんお待たせしました。残念ですが、うちには西賓対語は見当たりませんなあ〜」「どこに行けば西賓対語を見せていただけるか、お分かりになりませ…

続倉敷珈琲物語 第41話「歴史が変わる.....?」

前回のあらすじ...宇田川榕庵が日本で最初の珈琲に関する文献「哥非乙説」を著わしたことを突き止めたタカシとラッキーは、榕庵がいつ、どこで、どのようにして珈琲を飲んだのか、さらに調査を続けた。そしてとうとうオランダ人ツンベルグが残した、「ツンベ…

続倉敷珈琲物語 第40話 「ついに宇田川の文字が...」

岡山県人として初めてコーヒーを飲んだのは、宇田川榕庵ではないだろうか? 真相を究明するためオランダ人の文献を調べ始めたタカシとラッキー 「ケンプエル江戸参府紀行」の次に取りかかったのは、25話でも出て来た「ツンベルグ江戸参府紀行」であった。 ツ…

続倉敷珈琲物語 第39話「ケンプエル江戸参府紀行」

宇田川榕庵が確かにコーヒーに関する文献を書いたことがわかった。 では、榕庵はいつ飲んだのだろう? 榕庵は岡山県人として最初にコーヒーを体験したのだろうか? * 江戸参府をしていたオランダ人一行は本当にコーヒーを持っていたのか? * それを道中、…

続倉敷珈琲物語 第38話「津山洋学資料館 その3」

「すいません。うちには『哥非乙説』の原著もコピーも無いようです。 一応『哥非乙説』に関する洋学史辞典の記述部分をコピーしましたので参考にしてください。」と、係の女性...<残念! どうしても見たかったのに... どこに行けば見れるんだろう...?> そ…

続倉敷珈琲物語 第37話「津山洋学資料館その2」(漢字「珈琲」の発案者とは?)

「すいません、岡山の県立図書館で教えていただいて訪ねてきたのですが......」私達以外に見学者はなく、それほど忙しそうな様子でもなかったので、先ほどの受け付けの女性に聞いてみることにした。私は県立図書館でコピーしていただいた『近代科学をひらい…

続倉敷珈琲物 第36話「津山洋学資料館」

この第36話に書いた津山洋学資料館は最近大幅にリニューアルされています。 約10年前に訪れた時の資料館の描写ですが、あえて当時を偲ぶ形でそのまま記述させていただいています。資料館の方々には大変お世話になりました。改めてお礼申し上げます。では、当…

続倉敷珈琲物 第35話「いよいよ岡山にやってきた!」

「さあ、ラッキー! いよいよ僕の地元・岡山の珈琲物語に突入だよ! まずは、岡山県人の中で、一番最初にコーヒーを飲んだのはいったい誰なのか? その一杯目のコーヒーを、はたしてどこで飲んだのか...? こんなことわかるかな〜?」長かったが、とうとう地…

続倉敷珈琲物 第34話「カフェーパウリスタ-その2」

「プランタンのコーヒーが当時15銭だったでしょ? カフェーパウリスタの一杯5銭というのは、まさに大衆が楽しめる値段だった訳だね?」「そういうことなんやけど、この水野さんちゅ〜人はほんまに欲のない人でな、集会があると聞けばすぐに出かけて行き、試…

続倉敷珈琲物 第33話「カフェーパウリスタ」

『時間がゆっくり流れる喫茶店』時間毎にお勧めのなごみのスポットを紹介する、ごく最近のある雑誌の特集である。そんな雑誌の、朝8時のお勧め場所に取り上げられているのが「カフェーパウリスタ」二人して日本へやってきた、あのジョン・レノンとオノ・ヨ…

続倉敷珈琲物 第32話「カフェから溢れる大正ロマン」

鴻の巣のメニューの裏の散文詩 「明治43年日本橋小網町に、<メイゾン鴻の巣>がオープン。日本で最初にカフェーと名のった店だったとされてます。」ラッキーの説明は続いた...「メイゾン鴻の巣にはどんなお客さんが出入りしてたの?」「明治大正詩史のな…

続倉敷珈琲物 第31話「明治時代の珈琲物語」

この第31話に登場する中沢澄男氏について、貴重なご意見をいただきました。10年ほど前に書いた文章では、中沢氏を単に「人が珍重しないものを集めるのが趣味の人で、珈琲には興味がない」と表現しておりましたが、実際は考古学専門の教育者であり、収集物の…

続倉敷珈琲物 第30話「鄭永慶の生涯-その3」

可否茶館が開店して4年目を迎えていた。「夢一杯でオープンした可否茶館やったけど、そのころの日本人の生活や意識からしたら、理想だけが先行してて、商売としては苦戦しとったんや。」ラッキーの話しは続いた...。「珈琲の値段が高すぎたの...?」「珈琲…

続倉敷珈琲物 第29話「鄭永慶の生涯-その2」

鄭永慶の生涯についてのラッキーの話しは続いた...「明治15年(1882)6月、惜しまれながらも強引に岡山師範中学校を辞職して東京に戻ります。 東京ではすぐに田尻稲次郎の推薦で大蔵省に入りました。永慶24歳。 一緒にエール大学で学んだ田尻稲次郎・鳩…

続倉敷珈琲物 第28話「鄭永慶の生涯-その1」

「おい君、ここを学校にしようか、コーヒー屋にしようか?」日本最初の本格的珈琲店「可否茶館」の創始者鄭永慶は、門人であった秋山定輔に相談するのだった。時は明治21年、新築の2階建ての洋館を目の前にして、まだ鄭永慶は迷っていた。 生活のため面子…

続倉敷珈琲物 第27話 「- 可否茶館 - 日本最初の本格的珈琲店」

明治の年号に代わって16年目(1883年)、「鹿鳴館」が社交クラブとして麹町区山下町(現在の千代田区内幸町1丁目)に建てられ、いわゆる「鹿鳴館時代」が始まった。残念ながら、その時に催された落成記念パーティーでコーヒーがふるまわれたかどうかは明ら…

続倉敷珈琲物 第26話 「日本で最初の喫茶店」

江戸時代に日本に伝来したコーヒーは、長崎の出島に出入りする少数の限られた人々に飲まれただけで、その普及速度は遅々として捗らず、鎖国から開国へと大きく時代が移り変わる時期を待つ こととなった。 しかしその代わり、渡来してきた異邦人との交流の中…

続倉敷珈琲物 第25話 「焦げくさくして味ふるに堪ず」

さて、最初に飲んだのは遊女かも?...というラッキーの想像ではなく、歴史上日本でコーヒーを最初に飲んだとされる人が誰かということを著わしている資料はというと... 「ツンベルグ江戸参府紀行」1776年がある。 これは、オランダ船医として来航していたス…

続倉敷珈琲物 第24話「どや、おまえも飲んでみるかい...?」

やっと日本まで辿ってくることが出来ました。 トルコあたりからコーヒーロードはいくつかに分岐して、全てを追うわけにはいかず、日本へのルートのみを追ってきたわけです。さて、日本にはいつ頃どこから珈琲は伝わったのか?続きをどうぞ... - 「ここは、15…

続倉敷珈琲物 第23話「不倫カップルの功績って...?」

「まず、この話しは、オランダ人が移植に成功した、ジャワから始まります。 1706年、ジャワのコーヒーの若木がアムステルダム植物園へ移植され、さらにその植物園から苗木がヨーロッパ各国の植物園に移植・紹介されました。 この段階では、植物園で鑑賞した…

続倉敷珈琲物 第22話「東インド諸島への伝播」

アラビアからのコーヒー貿易の主人公となることに成功したオランダが、次に目指したものはオランダ領東インド諸島でのコーヒー栽培であった。 「オランダは植民地でのコーヒー栽培を始めるために、モカから生豆を運んで育てたの...?」 ラッキーに聞いて見た…

続倉敷珈琲物 第21話「オランダだけが目指した道とは...?」

「ここがどこかは、タカシでもわかるやろ...?」 ゆっくりと停車したマンデリン号から外の風景を見て、ラッキーがつぶやいた。 美しく咲き乱れたチューリップの花畑。 のどかな牧草地でゆったりと回転する大きな風車。 そう! ここはオランダだった。 「日本…

続倉敷珈琲物 第20話「コーヒーが精力減退飲料だって...?」

....1674年-ロンドン.....家庭の主婦によるコーヒー反対の請願書真に性愛の自由の守り手である人々に コーヒーという名の人体をひからびさせ 衰弱させる液体の過度の飲用が その性に及ぼす大いなる不都合について 反省を求める為に提出される女性の請願書…

続倉敷珈琲物 第19話「ペニー大学で一講義...?」

「イギリスと聞くと珈琲というより、やっぱ紅茶だよねえ〜ラッキー?」「う〜ん、今ではそうタカシが思ってもしょうがないか...?せやけど17〜18世紀のイギリスは、まさに珈琲の国といっても過言ではないほど、コーヒーハウスが沢山あったんでっせ。」マンデ…

続倉敷珈琲物 第18話「カフェ・プロコプの真実」

「さあ、ここが、フランス最古のカフェと言われている<カフェ・プロコプ>でっせ。 ほんまは違うんやけど...」 マンデリン号から下りながらラッキーが始めた。「違うって...?...最古じゃないの?...あっそうか! フランスではなく、パリで最も古いっていう…

続倉敷珈琲物 第17話「フランスへのコーヒー伝播」

ラッキーとタカシを乗せたマンデリン号は、美しき地中海の街<マルセイユ>へ到着した。 「フランスへ来るのは始めてなんだけど、どうしてパリじゃあなくてマルセイユなの?それと、マルセイユって、フランスのどの辺になるのかなあ?実際フランスと聞くと、…

続倉敷珈琲物 第16話「 ナポレオンなくしてエスプレッソは生まれなかった!...本当?」

「私はお前をカフェ・テデスコ(ドイツカフェ)と名付けたい。ドイツ人の集う所よ。お前は芸術の秘密の集会所だ。そこではギリシャ人とドイツ人が一つのテーブルを囲んでいる。」 薄暗い店の中、タバコの煙りの向こうに、帽子をかぶったままの男たちが丸テー…