珈琲物語を書くことになった10年前のできごと

物語を書き始めたのは1998年だった。

実を言うと物語なんて一度も書いた事が無かった。だって私、本業は経営コンサルタントなのです。

そんな私がどうしてネット上に物語を書くようになったのか、少し振り返ってみることにします...


それは、ある日、大切なクライアントの社長から相談を受けたことがきっかけだった

「先日、数名の学生バイトをお願いして、仕事の後で自慢の自家焙煎珈琲を振舞ったところ、苦くて飲めないと、ほとんどの子が残したんだ。近頃の若者は甘い缶コーヒーのほうが好きなのかな〜・・・」

頑張って環境関連ビジネスで成功をおさめられた社長は、奥様の夢だった喫茶店を開業し、地元では老舗喫茶店として著名な店を数店舗経営されていた。

自慢の自家焙煎をお礼の気持ちで振舞ったのに、若者たちのリアクションに残念な思いを持たれたようだった。

「珈琲は単なる飲み物というだけでなくて、なんともいえない雰囲気があるじゃろ?独特の文化や歴史を感じることができる、そんな飲み物のはずなのに、最近の子は知らんのかな〜?商売抜きで、そうした珈琲の良さを普及させるようなことができないだろうか?」

社長からの相談とは、珈琲の持つ文化や歴史をたくさんの人に伝える手立ては無いものか?・・・というものだった。

その当時、私は特に珈琲好きと言う訳でもなく、もちろん珈琲の文化も歴史も知る由も無かった。

ただ、インターネットに関する可能性に深い興味を持っており、低予算でより多くの人にメッセージを伝えるツールとして、ホームページによる情報提供の良さをすぐに思いついた。

私の提案を聞き、具体的にどのような情報をどうやってホームページ上で提供すべきか、企画をしてみて欲しいと要望されたことが、物語を書くきっかけとなった。

その当時、インターネットは今ほど浸透しておらず、珈琲というカテゴリーで検索しても、数件の喫茶店のホームページが出てくる程度であった。

そこで提供されている情報は、良いコーヒー豆の選び方とか、美味しい珈琲の淹れ方といったものがほとんどで、同じようなホームページを作ってもあまり意味が無いように思われた。

そこで私が提案したのは

「この地球上で珈琲が発見された場所から、社長の喫茶店がある倉敷までどのように珈琲が伝わってきたのか、珈琲の伝播の道を旅しながら、その当時を振り返り、珈琲がつむいできた文化と歴史を紹介するというコーヒーロードの旅行記をホームページに連載しましょう」というものだった。

その提案は採用された。

そこで私の役割は終了するはずだった。

誰か、無名でも文章を生業としているような方に依頼されるものと考えていた。

しかし、社長にもそうした知り合いはいないらしく、とりあえず言いだしっぺの私に、何でもいいから書いてみて欲しいと要望されたのであった。

まったく自信の無い私はすぐに断ったのだが、何とかして欲しいと懇願され

「では、恥ずかしいですけど少しだけ最初のところを書いてみますので、それを見て判断してください」となった

提案した責任も感じ、どうせ却下されるに決まっていると、とりあえず自分なりに物語の最初を考えてみることにした。

いざ文章を書くとなると、まったく筆は進まないものです。初めてですから・・・

いかに適当といっても、嘘を書くわけにも行かず、珈琲がどこで発見されたのか、まずそこから調べる必要性にいまさらながら気がつき、あわてている自分がそこにいたのです

今のようにgoogleもなく、どうやって調べれば良いのかさえわからず悩んでいた私に一筋の光が見えた展開は、明日書きたいと思います。

今日はこれから親孝行しに帰省します。雪が降らなければ良いのですが...

これから帰省される方々も、気をつけて良いお正月を過ごしてくださいね。