続倉敷珈琲物 第4話「はまってしまったアフリカ料理。その正体は?」その1

 アジスに帰った私はさすがに疲れていて、次なる目的地ハラールへの打ち合わせをしようとする元気なアベベの提案をさえぎってしまった。

「一日アジスでゆっくりとくつろぎたいんだけど、つきあってくれる?」

「OK!OK!、ゆっくり休む大切ね。おいしいもの食べてよく眠ればいいヨ。」

 アベベがお勧めのホテルは<バロホテル>。

 ピアッサ地区の中では高級な方で、ゆっくりとくつろげるカフェテラスが、ありがたかった。
 対照的に、隣の<ナショナルホテル>は、グランドフロアーにバーがあってかなりにぎやかそうだった。

 エチオピアの安宿は<ブンナベット>と呼ばれている。

 ブンナはコーヒーのこと、ベットは部屋の意味であり、バーと宿がくっついているのが普通のようであった。
 たいていの町や村にはブンナベットがあるので、旅人にはありがたい。
 料金も安くて、アジスでも8〜10Birr(200円)もあれば泊まれるのである。

 バロホテルのホットシャワー付ルームは、1泊40Birr(800円)とかなり高かったが、ちゃんとお湯も出て快適だった。とはいっても、お布団へのシューと一吹きの殺虫剤は忘れてはならない常識のようであった。

 日本製殺虫剤では、ほとんど効き目がないというのはよくある話のようで、アフリカ旅行経験の豊富な知り合いから聞いた方法も試して見た。

 石鹸水を作り、布団の縫い目にそろ〜りと垂らしていくのだ。

 ホテルに入ったらまず最初にすべきこととは聞いていたが、実際に足が水玉模様になってカイカイ状態にならないとピンとこないものである。
 初日の曝睡で十分思い知らされていた私は、当然、たっぷり時間を掛けて石鹸水の儀式をまず行った。

 おなかがすいたので、大好物になった「ドロワット」を食べに出かけることにした。